10月2日から20-21シーズンが開幕するBリーグ。コロナの影響も考えられるなか、今、シーズンはどのようなシーズンになるのでしょうか。
今回は、B1に初参戦となる「広島ドラゴンフライズ」をピックアップ。B2から上がってきたチームはリーグ残留が目的になりがちですが、今シーズンは降格がありません。
ですので、よりアグレッシブな挑戦をしかけてくるはずです。「広島ドラゴンフライズ」は、20-21シーズンの台風の目になることができるのでしょうか。
広島ドラゴンフライズとは?

B1までのあゆみ
広島ドラゴンフライズは、2013年4月に清水敬司氏が当時の『バスケットボールトップリーグ「NBL」に所属するプロチームを広島に立ち上げる会』を設立したことが始まり。
その2年後の2015 年、NBL 2014-15レギュラーシーズン WESTERNカンファレンス3位に。そして、NBL 2014-15プレーオフ クォーターファイナル出場します。
Bリーグが発足してからは、B2リーグ2016-17レギュラーシーズン西地区2位になり、B2プレーオフ出場。そして、B1・B2入替戦出場しましたが、B1昇格ならず。
その後2シーズンは、17-18シーズン西地区3位、18-19年シーズン西地区3位。そして昨シーズンの19-20西地区優勝を果たし、B1リーグへの昇格が決定しました。
19-20の成績は?
B2全体順位 | ||
総得点数 | 4,125点 | 1位 |
1試合平均得点数 | 87.7点 | 1位 |
フィールドゴール成功率 | 50.2% | 1位 |
3ポイント成功率 | 38.2% | 1位 |
オフェンスリバウンド数 | 485本 | 10位 |
ディフェンスリバウンド数 | 1347本 | 4位 |
ターンオーバー数 | 557回 | 14位 |
スティール数 | 349本 | 6位 |
ブロック数 | 160回 | 3位 |
ファウル数 | 765回 | 18位 |
広島の得点力
広島の得点力は、B2でダントツ1位。平均得点数ももちろん1位。
そして、B2はB1より試合数が6試合程多く対戦しているなかで、フィールドゴール確率が50.2%の高い数字を出しています。B1でフィールドゴール確率1位はSR渋谷で45.2%。B1で1位のクラブよりも高い数字を記録しています。
また、3ポイント成功率も38.2%を記録。B1で1位の川崎ブレイブサンダーズは36.8%と、フィールドゴール確率と同様にB1で1位のチームを上回っている数字になっています。
もちろん、B1とB2でディフェンス能力に差はあります。B1の方がディフェンスの圧力が大きいのは間違いありませんが、この数字はB1でも活躍を期待できる数字ではないでしょうか。
ターンオーバー
広島はターンオーバー数で14位。これはミスの数ですので、順位が低い方が優秀と言える数位。19-20シーズン、広島は下から数えた方が早くミスの少ない数字になります。
広島のターンオーバー数は557本。B1でターンオーバーが最も多いチームは、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの563本。最も少ないのは宇都宮ブレックスの374本となっています。
B1の方が約6試合ほど試合数が少ないので、数の比較ではなく1試合平均で見てみましょう。
●ターンオーバー1試合平均回数
広 島 約11.8回
名古屋 約13.7回
宇都宮 約9.3回
宇都宮と比べると約2.5回の差があります。さすが宇都宮というべきでしょうか。しかし、名古屋よりもターンオーバー数は抑えられています。名古屋はワイルドカード争いで7位。広島は、残留プレーオフラインより上に位置するクラブよりミスの少ないクラブです。
ひとつのミスで試合の流れが大きく変わるターンオーバー。この回数が少ないほどクラブの勝利はグッと近づきます。ミスをもっと抑えること、選手同士の連携を高めることでB1でも上位に食い込むことができるのではないでしょうか。
ファウル
次に注目したのは、ファウル。シーズンを通したファウル数は18位といちばん少ない。B2からB1とレベルの高いリーグへ挑戦するわけですから、プレッシャーもしっかりかけなければなりません。そこで怖いのがファウルです。ファウルが重なると相手にフリースローを与えることにもなり、最悪退場となってファウルトラブルを招いてしまいます。
広島のファウル数はというと、シーズンを通して765回。1試合平均約16.2回となっています。
B1で一番ファウル数が多いクラブは秋田で、852回。1試合平均20.7回。
ファウルが一番少ないクラブは新潟で、597回。1試合平均は約14.5回。
20-21シーズンで同リーグの強豪である琉球は775回。1試合平均は18.9回。
三河は641回で、1試合平均15.6回。
広島のファウル数と1試合平均を考えると、まずまずの数字。しかし、B1リーグの攻撃力はB2とは違いますので、ファウル数はどうしても増えてしまうと予想されます。
B1で戦い抜くにはファウルにならないディフェンスと、ファウルトラブルを防ぐ選手層が重要になってきます。
広島ドラゴンフライズの注目選手!
グレゴリー・エチェニケ

まず、注目したいのは「グレゴリー・エチェニケ」選手。ヒゲもじゃのルックスも愛嬌がありますが、「エチェニケ」とちょっと言いたくなる語呂であることも、覚えやすいところ。
「エチェニケ」なんだか言いたくなるでしょ。
19-20シーズンB2リーグ最終週選手に選ばれた、パワーフォワード兼センターの選手。19-20シーズンは出場した44試合すべてに先発。平均21.2得点12.1リバウンド2.1アシスト1.5ブロック。広島の西地区制覇に大きく貢献しました。
リバウンド数も500本を超える数字を記録。オフェンス・ディフェンス時ともに、広島にとっては心強い選手。
得点数もチーム1位。広島の中心となる選手です。しかし、エチェニケ選手を止められると広島にとっては厳しい展開になってしまうでしょう。
トーマス・ケネディ

続いては「トーマス・ケネディ」選手。デトロイト出身ですが、先日、帰化許可を申請。20-21シーズンは帰化選手枠として登録されるので出場機会も増えると予想されます。帰化することで広島は外国籍の選手の登録が可能になったので、広島にとっても大きなメリットです。
18-19年B2得点王とシーズンMVPを受賞するほどの実力。19-20シーズンは出場した23試合すべてで2桁得点をマーク。1試合平均、24.4得点、9.1リバウンド、4.9アシストを記録しました。
「グレゴリー・エチェニケ」選手と連携した広島の攻撃力の要。この連携を断つようなディフェンスをされたら広島は厳しいものがありますが、逆にこの連携が波に乗れば、一気に突き放すことでしょう。
田中成也

186センチ80キロのシューティングガードの「田中成也」選手。ドイツ人と日本人のハーフの選手です。(英語はまったく話せないのだそうです。)
明治大学を卒業後に広島へ加入し、広島一筋。19-20シーズンは3ポイントシュート確率42.8パーセント。B2のベスト3ポイント成功率賞を受賞したB2ナンバーワンシューターです。
田中選手がもっと成長することで、同じシューティングガードであるチームキャプテンの朝山正悟の負担も軽減されます。
朝山選手は、昨シーズン選手兼ヘッドコーチ、選手兼アシスタントコーチ、そしてキャプテン。超多忙のなか、46試合に先発したチームの中心的存在ですが、現在38歳。広島の成長には田中選手の存在は欠かせません。
田渡 凌

20-21シーズンから広島のメンバーとなった「田渡 凌」選手です。3歳からバスケを始めている生粋のバスケットマン。さらに、父もバスケ部監督、兄はサンロッカーズの田渡修人のバスケ家系です。
昨年はシーズン中のなかで「テラスハウス」に出演したり、コロナで自粛期間中にはTwitterでエアロビチャレンジをしたりとコートの外でも注目を浴びています。
コートの上ではというと、3歳からバスケを始めるぐらいですから相当の実力者ですが、昨年は横浜で不振に終わったのも事実。同ポジションの「岡本飛竜」選手とは仲がよいそうですが、お互いライバルとしてレベルを高め合うことができるのでしょうか。田渡と岡本の凌ぎあい。これも20-21シーズン広島の楽しみでもあるかもしれません。
まとめ
近年B1への昇格組は、苦戦しているのが現状です。しかし、20-21シーズンは2リーグ制。A東京や川崎ブレイブサンダース、千葉ジェッツ、宇都宮ブレックス、サンロッカーズ渋谷などなど強豪は東地区に入り、広島は西地区。
西地区は楽ということではないですが、強豪が東地区に集中するのは昇格組の広島には好機であることはまちがいありません。しかも、20-21シーズンは降格がありませんので、どんどん攻撃をしかけていって、オフェンシブなバスケを見せてほしいですね。
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